ハッピーバースデー(かざみどりSS有り)
穂と朝日ハッピーバースデー!!
緑コンビの誕生日は個人的に自分の誕生日よりも嬉しい日です。
絵の方描いてましたが間に合わなかった……。まぁ、誕生日後でも映える絵だと思うので完成したら見てやってください(^_^;)
20日よりかざみどりの本編を公開し始めました。
パスワードの申請形式を取らせていただきましたが、そういうの有りだと嫌がられるかな……と思いきや、ちょこちょこ入るメール通知。
一部の方からは感想を頂戴し、嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちであわあわオロオロしております……! 有り難う御座います><
第2話は11月月初に更新予定です。
第1話ではとにかく痛々しいシーンが多かったかと思います。
読者の方からのメッセージやメールからは悲しくなって泣いてしまいましたというような内容も頂戴しましてなんだか申し訳ない気持ちで一杯になっています(あれでも大分マイルドになった方だという裏話はここに置いておきます)
でも第2話からはゆったりと流れる温かな空気の中で過ごしていきますので、暫く平和な空気を楽しんでいただければと思います。
以下、ショートストーリー。
ブログ「塗り塗り」「寒くなると何故かアイスが食いたくなる。」の続きです。
◆
風祭り四日目の十月二十四日。主の帰りを待ち続ける鷹司家は日の出から大忙しだ。
毎日磨きあげてはいるが部屋にホコリが残っていないか。食材に不足は無いか。少ない使用人達は念入りに最終確認を行っていた。ーーただ一人を除いて。
芳実は別件で動いていた。朝日の指示で前日の夜から鷹司家に泊まる凪を起こした後、当主自慢の湯に浸からせる。体が温かいうちに普段見慣れない化粧品で特別仕様に仕上げていく。
もともと肌が綺麗な“お嬢様”。副業≪美容師≫の腕の見せ所です。
肩甲骨まで伸びた髪の長さを整えハープアップに編み込んでいく。あぁ、髪の長い時の主様と同じく左下前方辺りに一つでまとめてお揃いにしても良かったな。凪様は緩い三編みで編み込むのも可愛いかも。……まぁ、お帰りの頃にはいつもの髪型に戻っているでしょうけど。
玄関の方へ使用人達が駆け足で向かっていく。主がお戻りのようだ。凪も玄関の方へ向かおうとしたが芳実はそれを制止する。
最後の仕上げ≪紅≫を優しく施した。とても健康的に見える。鏡で己を確認し、化粧の力に驚かされている時、芳実は隠し持っていた小瓶を取りだしシュッと凪に吹き掛ける。熟れた果実≪リンゴ≫の香りが広がり、なんだかとても美味しそう……と、凪も芳実も心のなかで思うのであった。
玄関を覗くとキャメルカラーのジャケットを羽織る主がいた。彼に「おいで」と呼び掛けられ凪は広げられた腕の中へ吸い込まれていく。三週間ぶりの恋人の体温。互いの体温と彼の香りに包まれ心地よくて溶けてしまいそう。
あああっ、熱い。熱すぎて見てられねえ! なんでこれ見て平常心を保ててるんだのこの使用人達は!? 先輩達は眉一つ動かしてないぞ!?
……と、神樂は平常心のままで居続けようと表情筋と戦う。強張りすぎて額から吹き出る汗は頬を伝って地に落ちた。
第一秘書の濱田が朝日達の側に寄り車の準備が整っていることを伝える。使用人達に見送られながら桃色オーラに包まれた二人は手を繋いで外へ出た。
「運転は……神樂、お願いしますね」
微笑ましい笑顔を神樂に向ける。その笑顔の裏から真っ黒な感情がヒシヒシと伝わる気がして思わず一歩後ずさり。
親友と凪が乗り込んだことを確認したら、車の周囲をグルリと回り異常がないか確認する。運転席に乗り込みエンジンを掛け、ミニスピーカーを耳元に装着する。
「……んっ……なんか美味そうな匂いがするんだぞ」
スピーカーの音声を入れた瞬間、親友の妙に甘い声が届いて体が硬直する。
「芳実さんに香水をつけてもらったんですよ……んんっ」
「……食べてしまいたいなぁ」
チュッ、チュプっと生々しい音も鮮明に聞こえ、ミニスピーカーを棄ててしまいたい気持ちを必死で堪える。おいこらお前ら何をやってる!?
熱情的な息遣いと何度も与え与えられる水音とリップ音。そしてガサガサと擦れる布の音。ビリアン皇帝のお墨付きの高性能なマイクが“童貞にはキツイ音”ばかり拾っていく。待て、待て! なんのいじめ!?
「んぁ……あ……あ、朝日……さんっ……」
必死に応じる凪の声が聞こえた瞬間、車体の重心が変わった。
ーー何が起こったのか想像したら敗けだ。ダメだ意識するな俺……無心無心……無心無心……無心を貫け……。
半ば涙目で運転し続ける。時折り聞こえる“音”と“音声”のせいでアクセルとブレーキを踏み間違えそうになる。
ーーふと思い出す。先日凪と芳実が一緒に焼き菓子を作っていた。朝日の為に用意していたビスケットを何枚か食べてしまい、真後ろにいた親友の背後から真っ黒なオーラが見えた事を。
あの時の仕返しか! 濱田さんはグルだろう。あああ……お願いだ、早く目的地に到着してぇ~~……。
ゴルド町の風祭り会場から百メートル程離れた所で車は停車する。平常心を保ちながら後部座席の扉を開くと満足な笑みを浮かべながら凪の手を引く親友がいた。凪の表情は放心状態。服はあまり乱れてねーからまだ良い……いや、良くねぇよ!
「いってらっしゃいませ、鷹司殿下、神子様」
平常心を意識して二人をそっと送り出す。
はぁ……いいなぁ、彼女ほしい……。
◆
ここの内容いらないかなぁって思ったんですけど、神樂兄妹はメインキャラなので出してあげたいなぁって。
……ということで、明日以降も“朝日の誕生日デート編”を書いていきます。
ついでにかざみどりの登場人物の一部を雑紹介。
●鷹司 朝日(たかつかさ あさひ)
主人公。鷹司家の当主。ソルトニアの王族の一人ではあるけど全く王位を継ぐつもりは無し、穂の子供が生まれたら家系から外れようと目論んでいる人。
そんなわけで俺死んでも問題ねぇし位の感覚で里見という風導士の活動組織の中で働いている。第2課第1部隊の隊長。第2課は刑事事件に携わる。
現状、第1王子なのでその場で逮捕状を出せるし、時に第1課(公安)、第3課(法律)の最高決定権を穂の次に保持している。法的な立ち位置でチート属性。
Wind本編辺りから凪を探し続け、やっとこさ見つけたら恩返しという名の求愛行為なもので周りからはリア充爆発しろって思われている。
ビックリされるけどWind本編以降は忙しすぎて&凪とある事件の捜査に必死で「仕事やるロボット」になるので全然女性関係もってません。
……あ、やべぇ、雑紹介なのに文長くなっちまった。
名前は「たかつかさ“の”あさひ」と“の”が入ることがある。あと外部にいるときは“風間”と名乗ることが多い。
●烏羽 凪(からすば なぎ)
もう一人の主人公。Windの本編が動く前の頃に大ケガした朝日に適切な治療と看病を施した女性。
本編でさんざんな目に遭うが朝日のお陰で健やかに過ごせている。
あるきっかけで鷹司家の使用人になる。
途中から皆より「神子様」と呼ばれるのは彼女の正体が「風の神子」だから。
紫雲学院という学校の学生。
恩返しという名の求愛行為に応えて以降はデレデレ彼女。リア充爆発しろ。
●神樂 努(かぐら つとむ)
朝日の親友。里見に入って以降、鷹司家の使用人、里見第2課第1部隊メンバー。
朝日よりも年上なお兄さん。苦労人。
実家は花火を作っている。
彼女ができなくて悩んでいる。
現実に生きていたら間違いなくギャルゲ好きのオタク。
あまり言っていないけど、パーティーの回復役。
0コメント