あづいっ!!!(SSあり)
毎日暑すぎる!
ダラッと「Dear 03」の後のSSを。
これは本編の番外としてもうちょっと改修して軽く載せてもいいなーって思っている。
風邪ネタがバレるががががが。
◆
彼女は先日、風邪を拗らせた。
主の命(めい)により、五日間休息をとり、久々に王都の方の仕事へ向かう。
案の定「いない分を溜めておいてあげた」という名目で担当箇所はゴミで散乱している。同じ班員と監督者に対し疑念を抱くことは無く、ただ自分は隷代だからと割りきって、丁寧に掃除を始める。
思わぬところに油汚れがあり、その箇所を根気よく掃除をしていれば、いつの間にか屋外は茜色に染まり始めていた。清掃用具を片し、戸締まりをし、管理室にて日報を行って真っ直ぐに鷹司家へと戻って行った。
屋外から薫るクリーミーな匂い。主の作り置きを誰かが温めていたのだろう。
台所を覗いてみる。使用人仲間である税(ちから)は主の手書きのメモを片手にユックリと鍋の中を混ぜていた。
「烏羽さん、お帰りなさい」
凪は軽く会釈する。聞けば使用人全員、夕食はまだだそうだ。
お膳を立てる為、事前に税が取り出していた皿に手をかける。
ーー二枚足りない?
食べ盛りな二人の皿だけがそこには無い。
「あ、暫くですが主と神楽さんは戻られないそうです」
そのように税が伝えると凪は少し悲しそうな表情を浮かべる。
彼女は右手を挙げる。税は掌を差し出しだせば凪は指でトン、トンと打つ。
『オ』『イ』『ソ』『ガ』『シ』『イ』『ノ』『デ』『ス』『カ』
療養中、朝日は三日間付きっきりだった。飼い主が目放したらいけないからと、寝込む間は大分甘やかされたと思う。
ーーまだキチンとお礼も言えていないのに……。
「いつ戻れるのか分からないそうです。最近、怪しげな動きがあるそうでその調査に向かわれている……とか」
ーーそうか……。
凪は肩を落としながら配膳を始める。税はその様子を見守りながら心のなかで思う。
ーーあの人はすぐ無茶をするから……。
その頃、里見第二課、一部隊の執務室。
朝日は冷却シートを額につけ、具合悪そうにソファーで横たわっていた。
「熱あんなら家帰って寝りゃーいいのに」
「絶対……いやだぞ……」
熱いと言いながら掛け布団を蹴飛ばす。神楽は盛大な溜め息をつきながら
腹だけでもかけとけと言いつつ、落ちた掛け布団を雑にかけ直す。
「男相手に看病とか勘弁してくれ」
「……俺だって……可愛い女の子とか……美女に看病された方が……早く治りそうだぞ」
「んじゃ、呼んでくるか? 第四課に若ぇ女が入ったみたいだしな?」
「……いらねぇよ……」
ーー本当、馬鹿だよな。子犬が具合悪くなった時は血相変えて付きっきりだし、彼女から離れたときは大丈夫かな……と不安になってるし、案の定、風邪移ってるしな? 心配掛けたくねーからここで休むとか……ケッ、そんなにあの隷代ちゃんが大事なんかよ。
息づかいは荒くとも規則正しい寝息がたち始めた。
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